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MEETING ROOM vol.7|コーポレートグループ 坂寄紘平|"有言実行"を掲げ、地道な改善から全社DXを動かした8年半

坂寄紘平さんと安藤良平さんの対談風景

株式会社古川で働く"人"の哲学とリアルに迫るインタビュー連載『F MEETING ROOM』。第7回のゲストは、コーポレートグループ マネージャー 兼 DXプロジェクトリーダーの坂寄紘平さんです。

総務の現場改善から始まり、基幹システムの刷新、Google Workspace導入による全社DX、そして他社のDXを支援する新会社「ODX」の立ち上げへ。8年半かけて会社を変える中心人物になった坂寄さんに、座右の銘「有言実行」の裏側にある覚悟を、安藤良平が聞きました。

はじめに

今回対談させていただいたのは、コーポレートグループでマネージャーとDXプロジェクトリーダーを兼任されている坂寄紘平さんです。2023年度、2024年度と2年連続で殊勲賞を受賞し、2025年度には新設された「古川DX大賞」も受賞。古川のDX・AI推進を語るうえで欠かせない方だと伺っていました。

事前にプロフィールを拝見して驚いたのは、その受賞の軌跡です。インボイス制度対応での請求業務の見直しから始まり、請求書・利用明細書の電子化、そしてGoogle Workspace導入によるクラウド化・ペーパーレス化。現場の地道な改善の積み重ねが、3年かけて全社を動かす力になっている。

僕自身、フットサル選手として新しい戦術やスタイルをチームに取り入れる時、周囲の戸惑いや反発をどう乗り越えるかをいつも考えています。だからこそ、社内の半数以上にAI活用を浸透させ、今は他社のDXを支援する新会社まで立ち上げた坂寄さんに、その原動力を聞いてみたいと思っていました。

登場人物プロフィール

坂寄 紘平さんのプロフィール写真

GUEST

坂寄 紘平(さかより こうへい)

株式会社古川 コーポレートグループ マネージャー

2018年入社、勤続8年半。電算業務を皮切りに保安・配送・アクアクララ・LPガスなど部署横断で業務改善に携わり、2024年2月からDXプロジェクトリーダーを兼任。2026年度の新組織体制移行に伴いコーポレートグループ マネージャーに就任。2023・2024年度は殊勲賞、2025年度は新設の「古川DX大賞」を受賞。座右の銘は「有言実行」。趣味は鎌倉七福神巡りと旅行、好物は唐揚げ。

安藤良平さんのプロフィール写真

INTERVIEWER

安藤 良平(あんどう りょうへい)

ブランドアンバサダー / プロフットサル選手

現役プロフットサル選手。Fリーグの名門・名古屋オーシャンズで数々のタイトル獲得に貢献し、日本代表としても活躍。今季、古巣・湘南ベルマーレに復帰。トップアスリートとして勝負の世界で得た知見を、ビジネスにおける"勝ちの探求"へと繋げ、企業のブランド価値向上に貢献する。


第1章: 「その人にしか分からない」をなくしたくて――電算業務から始まったキャリア

坂寄さんと安藤さんの対談風景(第1章)

電算業務から、部署を横断する"何でも屋"へ

安藤良平さん

安藤

まずは自己紹介をお願いします。お名前と現在の所属、古川でのこれまでのご経歴を教えていただけますか?
坂寄 紘平さん

坂寄

坂寄と申します。現在の所属はコーポレートグループのマネージャーです。もともと総務部の募集を見て応募したのがきっかけで、入社後3ヶ月は総務、そのあと「電算」という業務に配属になりました。電算というのは、基幹システムへの入力や売上入力、請求書発行など、いろんな部署の業務をシステム面から支える仕事です。

それを結構長くやっていて、そのおかげで部署をまたいだ業務にどんどん携わることになったんです。保安もそうですし、配送もそうですし、アクアクララもそうですし、もちろんLPガスもそう。いろんな部署の業務をまたいでやることになって、「なんかここはこうした方がいいんじゃないか」というのを、自分なりに色々と考えられるようになった感じですね。
安藤良平さん

安藤

コーポレートグループというのは、今どういった立ち位置の組織なんでしょうか?
坂寄 紘平さん

坂寄

元々あった総務部が、今年4月の組織編成で解体されたんです。総務の中にあったカスタマーサポートセンターが独立してカスタマーサポートグループになって、残った総務課の名前も変だということでコーポレートグループに変わりました。さらに、そこに企画広報も一緒になったんです。

実際にやっているのは、社内のDX推進と経理、総務、人事、請求関連。企画広報が一緒になったことによって、今までそれぞれ特化してやっていた部分をみんなで共有できるようになって、「もっとこういう風にやった方がいいんじゃないか」「こういう風にもっと会社のアピールをした方がいいんじゃないか」という話がすごく広がった気がしますね。

どうしたら古川を知ってもらえるか、知ってもらった上でどう問い合わせにつなげるかを、一緒になって考えられるようになったので、率直に面白くなりましたし、やることもちょっと増えたかなという感じです。

DX・総務・マーケティングという3つの柱

安藤良平さん

安藤

社内DXと、総務系の管理業務と、マーケティング。この3つが今のコーポレートグループの柱、というイメージですね。新組織体制でマネージャーとDXプロジェクトリーダーを兼任されていますが、具体的にはどんなお仕事を?
坂寄 紘平さん

坂寄

そうですね、その3つです。日々いろんな依頼がポンポン来るので、それをさばいて優先順位をつけていくのが基本の仕事です。

それに加えて、古川が「ODX株式会社(小田原デジタルトランスフォーメーション)」という新会社を立ち上げまして。うちのDXというより、他社のDXを支援する会社なんです。私もそこに出向という形で参加していて、2月頃から進めている1社目の支援に続いて、7月で2社、9月からは3社目に入ります。相手先の依頼事や今後の課題をどう進めていくかをスケジューリングして、先方といろいろやり取りをして日程調整や資料作成・ご提案、というのが今主にやっている仕事ですね。

かといって古川の自分のグループの業務もあるので、今後1年このグループが会社の中でどういう立ち位置になっていくかを考えるのも仕事のひとつです。

鎌倉七福神巡りと唐揚げ、平日ストイックな食生活

安藤良平さん

安藤

ちょっと仕事の話から離れて。事前に伺ったプロフィールで、趣味が「鎌倉七福神巡り」とありました。僕、鎌倉が地元なんですけど、これは知らなくて。
坂寄 紘平さん

坂寄

奥さんが夕方のニュースか何かで見て、「近くでこういうのができるよ」と教えてくれたのがきっかけで、行ってみたら本当に良くて。江の島からスタートして、専用の台紙を1枚買うんです。行くところごとにご朱印を書いてもらって、それを回っていくというやつなんですけど。結構いい運動にもなりますし、この年になって、ああいうお寺を回るというのも、なんだかいいなと思って。
安藤良平さん

安藤

1日で回ろうとすると結構疲れるんですよね。
坂寄 紘平さん

坂寄

そうなんですよ。お子さんがいたりするとちょっときついかもしれないですけど、2日に分けてやるのも良いかもです。僕は1日で回りました。あとは134号線を車で走るのがすごい好きで。江の島の1番奥の駐車場に車を停めて、そこから歩いて、電車で移動したりもしますね。鎌倉駅の方にも足を伸ばしたりして。
安藤良平さん

安藤

あと唐揚げがお好きだとも伺いました。おすすめのお店とかあるんですか?
坂寄 紘平さん

坂寄

僕、結構スーパーの唐揚げが好きで、よく買っています。おすすめはYマートで、あまり頻繁にはやっていないんですけど北海道フェアをやっている時の唐揚げが本当に絶品なんです。ニンニクがガツンと来るタイプで、今まで食べた中でも結構上位に入るくらい美味しいです。お酒も飲むんですけど強くないので、平日は飲まずに週末だけにしていますね。唐揚げと一緒にお酒を飲むのが最高なんです。
安藤良平さん

安藤

僕もアスリートとしてオン・オフの切り替えを大切にしているんですが、坂寄さんが仕事で行き詰まった時のリフレッシュ法はありますか?
坂寄 紘平さん

坂寄

休みの日は奥さんと出かけることが多いです。あとはこの年になって食生活がすごく大事だと感じていて、食べたら食べた分やっぱり太るんですよ。なので平日の朝昼はバナナ1本だけで、夜はタンパク質と野菜中心でお米は食べないです。

それが土日になるとチートデイで、レストランに行って全然食べ放題じゃないところでも「好きなだけ食べていい」と言って好きなものを食べて、お酒も飲む。それが1番のリフレッシュになっている気がしますね。最初は結構つらかったんですけど、慣れると平日はお米を食べなくても全然平気になりました。その代わり月曜日は顔がむくんでますけどね(笑)。

第2章: 基幹システム刷新という"最大の転換点"、そして「守りから攻めのDX」へ

坂寄さんと安藤さんの対談風景(第2章)

「その人にしか分からない」を変えた基幹システム刷新

安藤良平さん

安藤

入社から8年半、総務やカスタマーサポートの現場でインボイス対応やペーパーレス化といった地道な改善を積み重ねてこられました。現場の課題解決が全社的な変革へと広がっていく中で、一番苦労したことや「ここで潮目が変わった」と感じた瞬間はありますか?
坂寄 紘平さん

坂寄

確かに本当にいろんなことがあって、いろんな改革というか、全社的な対応をしなくてはいけない場面が結構ありました。1番大きかったのはやっぱり、基幹システムが入れ替わった時ですね。2020年、今から6年前に、それまで使っていたサーバーシステムからクラウドシステムに変えたんです。

その前は、その基幹システムを扱っていた特定の人だけが掌握していたというか、その人しか分からない、いじれないという感じでした。このデータを出してほしいと言っても、その人にしか対応できない。それが結構自分の中ではある程度理解できていたんですけど、そこに触れる、触れないというのがあって、なかなかできなかったことにもどかしさを感じてました。ちょうど入れ替わるタイミングで、これはちょうどいいなと思って、1から自分が携われば全部把握できるようになるなと思って、そこにかなり時間をかけました。入れ替える時期は9時、10時まで残業する毎日で、システム入れ替えをした日は徹夜だったりで本当に大変でした。でもそのおかげで、今いろんな部署に提案ができるようになったし、逆に「これはできません」ということもはっきり言えるようになりました。

もうひとつ大きかったのが、2年前に会社のプラットフォームをGoogle Workspaceに入れ替えたことです。ちょうどそのタイミングで、副業人材の柳澤さんという方が、社長から「こういう風にDXをやっていくんだ」という方針のもとDXプロジェクトに加わってくれて。素人集団だけで勝手にやっていても方向がバラバラになってしまうところを、柳澤さんが旗を振って「こういう方向で、このスケジュールで行きましょう」と示してくれたのが、本当に大きかったです。あの方がいてくれなかったら、今の状態はなかったと思います。

心理的ハードルをどう下げるか

安藤良平さん

安藤

僕たちフットサル選手も、新しい戦術を取り入れる時は「前のやり方の方が動きやすい」と戸惑う選手が出ることがあります。社内の半数以上にAI活用を浸透させて古川DX大賞を受賞するまでに、社内の心理的ハードルをどう下げていったんでしょうか?
坂寄 紘平さん

坂寄

ここは結構、多分1番の課題ですね。正直、今でもおそらく使っていない人はいます。各部署から代表者を選んでDXメンバーとして、月2回の定例会をやっていました。もちろん進捗が遅いところもあるし、「こうだね、こうだね」と自分たちでどんどん進めていく部署もあるので、そこには差が出ちゃうんですけど、次のミーティングまでの課題は必ず自分の部署に持ち帰ってもらうようにはしていました。

固定概念が自分の中でできてしまっている人には、「こういうこともできるよ」と言ってあげても「そうなんだ」で終わってしまうことが多いので、ちょっとした成功体験、アプリを入れたりGeminiを使ったりすることでこういうことができるようになったよ、逆にこれを1回止めて手入力・手書きに戻したらどうなる?と全部自分たちで想像してもらう、というアプローチをしていました。

実務の部分は、今グループにいる3人のリーダーに任せて、担当者のペースの変化を見守ってもらう方針です。DXやAI活用は何をやっていいか分からない、というのが多分1番の壁で、強制的にやらせても結局その場限りで定着しないので、そこはもう様子を見ようというスタンスでやっています。

攻めのDXへ:ガス業界の同業者との会合で転機

安藤良平さん

安藤

単なる作業削減という「守りの改善」にとどまらず、今は「DXの知見を外販する」という「攻めの組織」へとシフトされています。この攻めにギアを上げた一番のきっかけは何だったんですか?
坂寄 紘平さん

坂寄

2年前のDXから始まってはいるんですが、当たり前ですけど今まで通常通りだった入力作業などを、Google導入やRPA(自動化ソフト)によってかなり削減できたよね、となったんです。でも減らした分で何ができるのという話になってきて、それだったらもうお客さんに発信していかなきゃだめだよねという考え方に変わっていきました。減った分楽になっただけだったら意味がないというのは、柳澤さんも最初からずっと言っていたことで、あくまでも空いた時間で付加価値業務を作ることが、本当のDXなんだと教えてもらっていたんです。

そこから始まって、1番大きなきっかけになったのは今年2月のODX株式会社設立で、そのそもそものきっかけが去年10月に同業のガス会社が集まって情報交換する会合に参加したんです。行った理由は、うちがDXをやり始めているから、それをガス業界にも簡単に説明できたらいいよねということで、僕がDXプロジェクトリーダーだったのでお声がかかりました。会合でグループ分けのディスカッションになった時に、うちの取り組みの話をしたんです。その場にいたのが営業系の若い方たちで、僕は営業ではなく総務系なんですけどと前置きして話したら、すごく食いついてくれたんですよ。ガス業界ってDX的にはかなり遅れているんだなということを、そこで初めて強く認識しました。

その場に居合わせた同業の会社さんから「もっと詳しい話をお聞きしたい」という話になって、それが今も支援している会社さんへとつながっています。ガス業界だけでなく、9月1日からは運送業など全く違う業種からも契約をいただいていて。使っている基幹システムやソフトは業種ごとに違っていても、ちょっと課題を聞くとGoogleワークスペースを入れることでだいたいの業務フローの課題は解決できることが多くて、そこからはもう業種は関係ないなと感じています。

放置されたホームページと、ウェブマーケティングの本当の価値

安藤良平さん

安藤

支援先の会社さんを見ていて、業種を問わず共通して感じる課題はありますか?
坂寄 紘平さん

坂寄

WEBサイトですね。申し訳ないですけど、うちのホームページが良すぎて、他社さんのホームページを見ると更新も中身も昔のまんまで、これは何のために作ったんだろう?というところがすごく多いんです。うちはリフォームや太陽光関連なんかが特にそうなんですが、ホームページ経由の問い合わせが本当にすごく多くて、それがなかったらほぼ問い合わせが無いと思います。頭が古い方だと「ホームページなんて関係ないだろう」という考えの人も多いんですが、今の人たちは本当によく見ますし、口コミも見る。そこはWEBマーケティングを馬鹿にしては絶対ダメだと思っていて、この視点を取り入れることができれば、会社に大きな変化をもたらせるはずです。
安藤良平さん

安藤

古川って、本当に人の悩みを解決してあげられる会社になっていますよね。選べる選択肢がどんどん増えている印象があります。

第3章: 「言葉にしたら、もう自分がやるしかない」――有言実行のリーダーシップ

坂寄さんと安藤さんの対談風景(第3章)

あえて自分にハードルを課す

安藤良平さん

安藤

座右の銘は「有言実行」とお聞きしました。僕もチームでリーダーシップを発揮する際、口で言うだけでなく「背中で見せる」ことを意識しているのですが、坂寄さんが言葉と行動でチームを牽引するために大切にされているポリシーは何でしょうか?
坂寄 紘平さん

坂寄

あえてこの言葉にしているんですが、多分自分に課せないと動かないから課せる事で自分がやるしかないという気持ちに持っていっている。なのでもう言葉にしたんだったら、誰が動くんだよ、自分しかいないよねと。役職がない頃もそうだったんですが、「マニュアルがない」という声が出た時も、「じゃあ作ればいいんじゃないの」と言って、自分で作り始めました。誰かがやってくれるだろうと思ったままだと、結局誰もやらないので。

企画をする時も、みんなに意見はもちろん聞くんですけど、まずは自分がやるという前提で、100%やる、というスタンスで相談します。「〇〇が理由で無理です」と言わせないところまで、外堀を絶対に埋めてから進めるんです。一例で社長からガスの供給契約書(14条)がずっと紙のままだったのを電子化できるだろ?という要望があった時も、そういう風にいろんな人を巻き込んで、もうやりますよという雰囲気にしてから、実際にやっていく。1人だと絶対に負けちゃうので、他部署の決済者に対しても「ここまでできているんだから大丈夫じゃないですか」と言えるところまで、行政のことも含めて全部調べて持っていくようにしています。

もちろん、思いつきでやってしまって現場が困ることも多々あるので、下準備が弱い時もあるんですけど、それでも「言ったことはやる」という責任だけは譲りたくないんです。後から「あいつは口だけだったよね」と言われるのが、1番嫌なので。

バンド活動で培った「プロとしての責任」

安藤良平さん

安藤

僕はプロ選手としてお客さんが自分たちの試合に時間とお金をかけて見に来てくれている以上、それに見合ったプレーをしないといけないと、ずっと思っています。坂寄さんのそのストイックさは、どこから来ているんでしょうか?
坂寄 紘平さん

坂寄

僕、元々バンドをやっていたんです。10代後半から20代前半の数年くらい、自分たちで曲を作って、ライブハウスで。 1000円くらいのチケットで、正直持ち出しの方が多いくらいだったんですけど、それでもチケットを買って見に来てくれる人がいる以上、パフォーマンスや曲でがっかりさせてはいけないと思っていました。よく、大きなドームでやっているようなプロのアーティストが、ファンサービスが悪いと書き込まれることがあるじゃないですか。あれは本当に怠慢だなと思っていて。自分たちのためだけに来てくれているファンの方に対して、そういう態度を取るのはプロじゃないなと。
安藤良平さん

安藤

その感覚が、今の「言葉にしたらやるしかない」という坂寄さんのスタンスにもつながっているんじゃないかと感じます。
坂寄 紘平さん

坂寄

そうかもしれないですね。元々はすごいグータラなタイプで、家では本当に何もやりたくないんですよ(笑)。でもそれも結局、労働の対価としてお金をもらっていて、そこには会社の期待値、給与の対価というものが全部乗っているじゃないですか。それ以下のことしかやらなかったら、頭打ちになっていきますし、そもそもそういう役職や立場に選ばれない人になってしまう。それはせっかく働いていてもつまらないので、そう考えると、怠けて何もやらない自分や、会社から見放されてしまうような自分にはなりたくないなと、そう思って自分を奮い立たせているだけなのかもしれませんね。

「7割を上げていく」という覚悟

安藤良平さん

安藤

新しい目標に挑む時、チーム全員の意識を同じベクトルに向かせるのは簡単ではないと思います。意見の食い違いや不安の声が出た時に、それを前向きなエネルギーに変えてメンバーを巻き込んでいくための工夫やコミュニケーションのコツはありますか?
坂寄 紘平さん

坂寄

正直に言うと、自分の中に会社の方針というものがあって、経営者は僕らが見ているよりずっと先を見ているんですよね。その中で今年1年間の方針を自分の中で一度飲み込んで、それを組織に伝えていかなきゃいけないという場面では、優しさよりも筋を通すことを優先しようと思ってやっています。もちろん自分の考えがゼロというわけではないですが、伝えるべきことはちゃんと伝える、というスタンスです。

もちろんいきなり突き放すわけではなく、順を追って説明はします。ただ、社会人として労働の対価で給料をもらっている以上、古川の一員としてやっていく気持ちやマインドはきちんと伝えるようにしています。なので、まずは7割の人たちに理解してもらえればいいかな、という気持ちでやっていて、そこを底上げしていく。残りの3割については、それでも難しいなら仕方ない部分もありますが、ついてきてくれるならちゃんと理解を深めてもらいたいなと思いながらやっています。
安藤良平さん

安藤

そのぐらいはっきりした考えを持っているのは、すごくスポーツの世界に通じるものがあります。プロとして対価をもらっている以上、結果を出さなきゃいけないという意識ですよね。
坂寄 紘平さん

坂寄

まさにそうですね。だから結構、反発は当たり前のように食らいますよ。総務にいた頃、DXをやりますよと始めた時も、最初はうちがやりやすいところからと思ってスタートしたんですけど、それが急に変わるものだから、ものすごい反発を食らったんです。やり方が正しかったかどうかや、もう少し上手にやれたかもしれないと考えることはありますが、結果としては間違ってはいなかったかなと思いながらやっています。

メンバーを人一倍観察する

坂寄 紘平さん

坂寄

正直、コミュニケーションはあまり得意な方ではないと思っています。総務部だった時も、担当者と1on1で話す機会は年2回くらいしかなかったので、その代わり、担当者がどういう人なのか、どんな癖があるのか、仕事の処理の仕方はどうかを人一倍見るようにしていました。

当時の課長代理たちから聞いた情報も活用しながら、腹落ちしないと絶対に先に進めないタイプの社員や、ちゃんとやるし、向上心を持っているんだけどミスが多い社員など、その人に応じたフィードバックを、面談やその都度のやり取りの中でしていました。多分みんな、そこまで見られていないだろうと思っていたかもしれないですけど、人一倍見るようにしていましたね。

何かいいことがあった時や、お客様に褒められたりした時は直接伝えに行くようにしていましたが、逆に改善が必要な時は、役職を飛び越えないよう、リーダーを通じて方向性を伝えるようにしています。

リーダー3人に完全に任せる

安藤良平さん

安藤

新組織体制となり、コーポレートグループとして「現場で働く社員のみなさんが思い切り挑戦できるピッチ(環境)」をつくるために、これからどんなサポートや仕掛けをしていきたいとお考えですか?
坂寄 紘平さん

坂寄

これはもう本当に、今グループにいる3人のリーダーに完全にお任せしています。リーダーミーティングというものがあって、そこである程度の経過報告はもらいますが、基本的にはさっきも言ったように、目的はもう決まっていて、目標値もある程度あるので、それに対して今年1年間走ってくださいと。もう自由にやってくださいという感じですね。

挑戦できるピッチはもうある状態なので、あとは自由にやってもらう。むしろみんなが色々とアイデアを言ってくるので、それに対してどんどん形にしていくという感じでしょうか。逆に進んでいなかったら、リーダーに「なんで進んでないの」という話になりますけど。担当者レベルへの細かい口出しはあえてしないようにしていて、そこは各リーダーから言ってもらうという形にしています。

第4章: 「1番の強みは社長」――挑戦を許す会社で、次に有言実行したいこと

坂寄さんと安藤さんの対談風景(第4章)

一番の強みは社長

安藤良平さん

安藤

自社内でのDX成功にとどまらず、会社の仕組みそのものを進化させている坂寄さんから見て、これからの古川が持つ「一番の強みや面白さ」はどこにあると感じますか?
坂寄 紘平さん

坂寄

1番の強みは、社長だと思います。うちの社長って、多分すごくいい意味で普通じゃないというか、常に攻めているというか挑戦しているんです。もちろん自社を守るという当たり前の部分もありながら、常に先を見据えて、いろんなものを取り入れようとする。それがすごく面白いんですよね。社長がいるからこそ今が成り立っているんだろうなと思いますし、僕らもその考え方にはやっぱり影響を受けます。何ができるのか、どうしたら古川の利益になるのかということを、すごく考えられるようになったかなと思います。

失敗を恐れず、準備した上での挑戦

安藤良平さん

安藤

坂寄さんの話の中に出てきた、社長がよくおっしゃっているという「どんどん挑戦してください。ただ、失敗するとわかっていて挑戦するのは絶対にダメ」という言葉が印象的でした。矛盾しているようで、挑戦しないことの方がもっとダメだという意味なんだと思います。
坂寄 紘平さん

坂寄

まさにそうなんです。データをただ集めて、ただ単に「これをやろうぜ」ではなくて、それに対してどういう影響があるか、会社にとって本当に利益になるのかというところまでデータを出して、「これだったらいけそうだよね」というところまで持っていった上での挑戦だから、やらせてもらえるんですよね。絶対に成功させるという気持ちで臨んで、それでも結果的にうまくいかなかったのなら、それは失敗じゃなくて次につながる経験になる。なので、失敗すると分かっていて挑む無謄さと、データを集めて反発やリスクまで見極めた上で挑戦することとは、全然違うんですよね。社長がいつもそう言ってくれているので、なんでもやっていいよという空気を作ってもらえているのは、本当にありがたいですし、この会社の面白さそのものだと思っています。

ODXの認知拡大という次の挑戦

安藤良平さん

安藤

3年連続の社内賞受賞を経て、坂寄さんご自身がこれから古川で新たに「有言実行」したい挑戦や夢があれば教えてください!
坂寄 紘平さん

坂寄

今、重きを置いているのはODX株式会社の認知拡大です。浜銀総合研究所が発行する雑誌に社長の記事が載ったことがきっかけで、多くの会社から問い合わせをいただいた実例がすでにいくつかあります。今後はWEBサイトに加えて、noteのようなWEBメディアで具体的な事例を発信していきたいと考えています。検索で社内DXに困っている企業の担当者にたどり着いてもらって、古川のDXの取り組みやODX株式会社の支援に興味を持ってもらう。人数もまだ全然少ないので、もっと本格的にDX的な人材を集めなきゃいけないという話にもなってくると思いますし、SNSでの発信も含めて、これから本格的にやっていきたいですね。

お客様・採用候補者・仲間へのメッセージ

安藤良平さん

安藤

最後に、この記事を読んでいるお客様や採用候補者の方、そして共に戦う古川の仲間に向けてメッセージをお願いします!
坂寄 紘平さん

坂寄

お客様に対しては、古川は今年で115年になる会社として、本当に誠実な会社だと思っています。これからも安心して信頼していただきたいです。

採用に関しては、非常にチャレンジができる会社だと思っていて。100年以上続いている会社の割にはやり方がガチガチに決まっていないので、「こういうことをやりたい」という思いにちゃんとした裏付けがあれば、いくらでも挑戦できます。古川は、実績を残せばちゃんと認められて、任される裁量も広がっていく会社です。

社員の皆さんについては、なんとなく給料はもらえるからと思って働いている人もいると思うんですが、うちは頑張った分、認めてもらいやすい会社だと僕は思っていて。そう?と思っている人は、アピールの仕方をもっと自分たちで考えて、周りを巻き込んでプロジェクトを組んだりすれば、会社としてはすごく重宝してくれると思います。ここで働けていることに、誇りを持ってほしいというのが1番の思いですね。

あとがき

坂寄さんの話を聞いていて、一番印象に残ったのは「言葉にしたら、もう自分がやるしかない」という一言でした。有言実行という座右の銘を、あえて自分にプレッシャーをかける手段として使っている。マニュアルがないなら自分で作る、外堀を埋めてから物事を進める。バンド活動の中で培った「チケットを買ってくれるファンにがっかりされてはいけない」という感覚は、僕たちアスリートの世界での「有言実行」とも、まったく矛盾しないものでした。

もう一つ心に残ったのは、「7割の人たちを上げていく」という一見厳しく聞こえる言葉の奥にあるものです。コミュニケーションが得意ではないと語りながらも、メンバー一人ひとりの癖や仕事の処理の仕方を「人一倍見ていた」という坂寄さん。それは冷たさではなく、労働の対価を得るプロとしての責任の取り方なのだと感じました。そして、古川の一番の強みを聞かれて「社長」と即答したこと。それは、「失敗を恐れず挑戦するが、しっかり準備した上での挑戦であれ」という考え方に、坂寄さん自身が本気で影響を受けているからこその言葉だと思います。この姿勢は、古川のスピリット「礼儀正しく誠実であろう」「お客様目線に立って考えよう」、そしてスローガン「わが街のパワーに」をそのまま体現しているように感じました。

「言葉にしたら、もう自分がやるしかない」。この言葉を胸に、次はODX株式会社の認知拡大という新しい挑戦に向かう坂寄さん。有言実行の先に、どんな景色が待っているのか。これからも楽しみにしています。

安藤 良平